Administrative Behavior

Simon は,「Administrative Behavior」,1945の中で,意思決定を,意思決定前提を目的にかかわる価値前提と目的実現の方法にかかわる事実前提とにわける.そしてこのような意思決定前提が外的影響力と内的影響力をもちながら,伝達を通して各意思決定者に流れていくとかんがえる.
 Simon は,環境要因,特に,行動の要因(非理性的要因,含めて)を斟酌して,意思決定者は限られた合理性 (bounded rationality)下での行動として特徴づけられ, そして人々は基づいて行動する, 満足化基準(satisfying criteria) と適応的理性システム (Adaptively Rational System)を見出すのである.経営組織は,個人と社会の適応体系として,意思決定者は人間の特性にもとづく,意思決定過程はコミュニケーション,一体感(a sense of identity),権威の容認(Acceptance Authority)を基礎として行なわれる.それだから,組織が,そのメンバーをして参加を継続させるように誘因し,労働者は組織を通じて共同決定した「満足的利潤」(satisfactory profits)を支持して努力するのである.  
 意思決定なる用語には,広狭2通りの意味が含まれている.まず広義では,つぎの4階層のサブ・プロセスを含む全体過程を考えられる(以下,Human Descision と限定したい).すなわち, (1)情報の収集(intelligence)過程, (2)行動代替案の設計(design)過程, (3)諸代替案の中からの選択(choice)過程,および (4)選択された代替案の再検討(review)過程がこれである.
 そこで上記 (3)に示された,諸代替案からの選択過程を中心に,理論的に以下のような狭義の概念が用いられる.すなわち (1)ある目標を達成すると考えられる行動の代替案 [これをai(i = 1,2....m)で示す] を列挙し, (2)各代替案が生み出すであろう結果 [これをSj (j = 1,2....n)で示す] を予測し, (3)予測された結果を,目標に照らして評価し効用指標 [これをujで示す] を得るという3つのサブ・プロセスを経て,個人は,効用uを媒介としてある行動案aを選択するが,この選択の過程がすなわち意思決定とよばれるものである.
 意思決定論における期待(expectation)とは,行為の代替案が生み出すであろう事実についての予想である.ところで人間は,期待あるいは推論を通じ代替案からの結果を得るが,その場合,結果の生じ方は状況に依存してきまってくることは明らかである.そこで,行為の代替案(ai)とその諸結果(Sj)との対応関係を,意思決定状況に照らして概略つぎの4つに分類する.
(1)まずある代替案を選択するとき,必ずある特定の結果を生じさせることが明らかな場合,これを確定条件下の意思決定状況と呼ぶ.
(2)ある代替案(ai)を選択するとき,複数の結果を生じうるが,これらのうちの各々について確率P(Sj|ai)が既知であるかあるいは少なくとも推定しうる場合,これを危険(risk)条件下の意思決定状況と呼ぶ.
(3)ある代替案を選択するとき,それにたいし結果の集合が対応することだけはわかるが,確率分布はわからない場合,これを不確実条件下の意思決定状況と呼ぶ.
(4)ある代替案を選択するとき,結果の集合さえ確定することができない場合である.
 人間をとりまく巨大な問題空間に対し人間能力の限界を説いた,
Simon 理論の妥当性は,特にこの(4)の場合において著しいといえよう.
 意思決定論では,ある「結果」を評価することによって得られる精神的満足,効用(utility)と呼ぶ.そこで,複数の行為の代替案のうちどれが望ましい代替案かを定める比較尺度が効用指数を用いることになるのである. (評価指標を用いる操作的アプローチには,数学的原理の論理的(連続性),意味的-真偽判断-パラドックスの回避は,つねに理性の限界が示している.)
 効用には,基数的な効用(例えば重量など量的に測定できるもの)と序数的効用との2種類がある.(序数的効用の概念は,A,Bについてそれぞれある効用数値を与えるのではあるが,それらの数値はたんに効用の大きさ順序で表わすにすぎないという観点にたつものである).
Simon は,その独自の「限られた合理性」(Limit Rationality)の観点から,人間が複数の代替案を相互比較しうる首尾一貫した効用関数をもっていないと主張し,いわゆる満足化基準(satisfycing criteria)による意思決定への道を開くことになった.
 意思決定者にとって,最大効用をもたらすべき代替的行為を選択しうるような意思決定は,これを最適意思決定(optimal decision)と呼ぶ.しかしこのような意思決定が現実に可能であるためには,意思決定者に全知的能力が必要である.(不確実条件下の意思決定状況では,意思決定者の極度に悲観・楽観をめぐるマクシミン(max-min)基準,あるいはミニマクス(min-max)基準の考え方も提案されていた.)

このようにして個人における現実の意思決定過程は,「限られた合理性」の満足化を基準といたものにならざるを得ないと考えられるのである.満足化基準による意思決定の場合,欲求水準を上回る代替案が選択され,そこで満足してそれ以上の努力は中止される.逆に言えば事情の変化によって従来の代替的行為が不満足のものとなった場合にも,よりよい代替的行為が見出される余地が存在する.このような「ゆとり」を組織スラック(organizational slack)と呼ぶ.換言すれば,組織の資源配分に際し,満足基準によって調整が行なわれるところなのである.

  

(Sj) → 情報探索拡大  ↑
 │------------------------α ┐
 │   欲求水準高める    

    │u(ai)_
    │   ┃      
    │Slack
 │ ┃ ┃ ┃ ↑   │
 ├ ╂ ╂ ╂──┰  ──β ┘
 │ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃
 │ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃
 │ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃
─ ┼ ┸ ┸ ┸ ┸ ┸──────────→ (ai)
 │ A B C D E → (unique solution) u(bj)>
α
    単一尺度で B は合理的選択(Rational Choice)である

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