認知・行動モデルについて

人間は口伝えによるコミュニケーションを始め,知り得た領域,開発する領域,支配する領域を拡大して,効用性を常に高めていくノウハウと技術など,永続性ある知識が貯えられていく.メッセージには,言葉,行動の基準,規範(外部の基準)を媒介=インターフェ-スとして交換される集団記憶は欠かすことができない.
集団記憶はあらゆるコミュニケーションのシステムの先立つ,いわば川上の記憶で,行動の基準となる最少の集団記憶と言える.情報処理でこれに相当するのは,すべてのプログラム,つまり一定の言語で書かれるすべてのメッセージの川上にあるコンパイラー (compiler,プログラミング言語で書いたプログラムを機械が読み取れる機械語に翻するプログラム)である.この機械化された情報処理から現れ出る基準は,明らかに,既知のデータや命令の形式化に欠かせない道具,つまり最少の記憶の発生の創造的部分である.いろいろな基準について,すでに述べている,図 12-0 は,各基準両立しうる範囲や構成要素(核)を提示している.普遍的基準あるいは標準化は,組織にとってきわめて重要な存在であると思われる.
人間の認知・行動について論じてきたが,いまこれを要約的に図示すれば,次のように展開されることができる(図 12-1), ところで 図12-1 については,以下の注釈を行っておきたい.
1 PS(process system) は,探索による知的情報処理システムの中核的存在で,ルール記憶部,データベース,およびインタプリタ(ルール記憶部に蓄えられたルールとデータベースの string のマッチングを行い,それが成功すると,その実行部を実施する)の三つから構成されている(図 12-2). PS のルール適用プロセスから分類すると,前提部(LHS)駆動型と結果部(RHS)駆動型の二種類になる.人間の認知・行動パターンの特徴からモデル化と予測する方法、両方とも可能なことを意味される.
2 人間の活動についての仮定は,人間の本質,人間関係,現実・空間・時間・環境の本質に対する仮定と深く結びついて,それは第一に,特定の文化的背景の下で高度に組織化された認知様式,第二に,このような認知様式が知識へのルートをつくる.第三に,文化的に異なった情報処理の形態を扱うことによって,文化について語ることは,認知レベルで語るという広く認められている様式と本質的に同じ基盤に立つことができる(後述).したがって,組織文化の研究の可能な領域(realm)を示唆している.
われわれは,人間の認知・行動の観点から文化がどのように理解できるかを示すことにある.分析的アプロチにおいて,コミュニケーション・ネットワークを効率的な設計が可能であり,人々の認知・行動に影響をおよぼしている.しかしながら,ある程度の文化(共有された経験や共通の学習の結果としてグループ全員に認知された枠組み)をもたなければ,と考えられている.
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